日常生活について
食事のとり方
筋無力症患者にとって、とくに避けなければならない食べ物はありませんが、できるだけ甘い物を控え、現代人に不足しがちなカルシウム、鉄分などに配慮し、栄養のバランスを考えた「正しい食生活」の維持を心掛けます。同時に球症状(噛みにくい、飲み込みにくいなど)のあるときは、堅いものやパサパサしたものは噛み難く、飲み込み難くなったり、水や汁物を誤飲しやすくなったりします。食べ物が気管に入ると、なかなか吐きだせず、嚥下性肺炎を起こすことがありますので、むせたり、喉に詰めるなどの事故を予防するために、食べ方や調理の工夫をすることが大切です。
<腹八分目>
バランスのとれた栄養、多品種の食物(1日に30品目)を少量ずつとるよう心掛けます。食べ過ぎは脱力など症状悪化を招きやすいことは、多くの患者が経験しています。

<調理>
球症状のある人は、次のような工夫をしましょう。
- 御飯は柔らかめに炊き、お粥やおじやにします。
- 野菜はよく煮込み、軽く押すと潰れるほど柔らかくします。生野菜として食べる場合は、細かく刻んで、とろろ汁、マヨネーズ、大根おろしなどで和えます。
- むせやすい汁物は、片栗粉などでとろみをつけます。
- 肉類は、挽き肉や柔らかく煮込んでほぐしたものを片栗粉などでとろみをつけます。
- 魚類は、身をほぐし小骨まで取り除き、煮汁かホワイトソースを加えて柔らかく煮込みます。
- 固形物がたべられない場合は、ミキサーやすり鉢で半流動食にし、ゼラチンや寒天でとろみをつけると食べやすくなります。この時、牛乳、バター、蜂蜜、オートミールなどカロリーの高いものを併用します。
- どうしても食物を飲み込めなくなったときは、鼻孔あるいは口から胃まで管を通して経管流動食を送り込む方法がありますが、この場合は医師とよく相談をしてください。



<薬の副作用対策の食事>
くにステロイド系の薬の副作用に対しては、高蛋白、低炭水化物、低食塩を心掛け、カリウム及びカルシウムの豊富な食事を取るよう努めます。また、食欲の異常昂進のため過食におちいりがちですので、肥満防止の対策も考えましょう。
以上のような工夫をしながら、常にバランスのとれた栄養、できるだけ多種類の食物をとるように心がけてください。参考までに、簡単な栄養表を掲げておきます。

<誤飲>
- 誤飲しないためにまず、患者はできるだけ起きて、または上半身を起こして食事をするようにします。
- 次に、誤飲したときの対策としては、家庭用吸引器を備えておくと便利です。ないときはまず、上半身を低くして背中を叩きます。それでも駄目で顔色が悪くなるようなら、患者の後ろからおなかを抱えて力一ぱいぐっと引っ張って腹圧を上げて、のどの物を飛び出させるようにします。(お餅が喉に詰まったとき、掃除機の吸い込み口を口にいれて吸引して助かった例があります。)地域によっては吸入器の購入助成があります。
- 食事中の誤飲の事故の予防、早期発見のためにも、患者は一人で食事をするのではなく、家族と一緒に楽しい雰囲気でゆっくり時間をかけて食べるようにすることも大切です。


<食器・補助具>
- 腕、手の動きが不自由なときは、食事の動作に苦労します。お箸など手に持つものは軽くて持ちやすいものを、置いて使うものは重くて安定の良いものを選びましょう。
- いろいろ工夫された食器類が、市販されています。
- 補助器具には、アームレストなどがありますが、家にある缶詰の缶を利用した簡単な工夫で、十分役に立ちます。(適当な高さの缶に肘をつくだけで、腕の上下運動が確保できます。)

