日常生活について

呼吸障害のある場合

 筋無力症の呼吸障害は、主として肋間筋や横隔膜の脱力症状として起こります。呼吸障害が頻発するケースは、クリーゼを起こしやすくなりますし、風邪や肺炎を起こしやすいので、十分注意する必要があります。

  • 日頃から腹式呼吸を十分にすることとリハビリ訓練を心掛けましょう。(リハビリの章参照)

<クリーゼ(急性の呼吸困難)対策>

 クリーゼは、治療法の進歩によって、この20年の間に激減し(30%→3%、好永)、よほど重症期にある人以外はほとんどその心配はないと言われています。しかし、球麻痺症状のある場合は、風邪や過労、精神的ショック、月経などが引き金になって、起こりうることを充分認識して、万一のときの対処法を知っておくことが必要です。

  • クリーゼが万一起こったときは、家族は緊急に救急車を呼び、救急車が来るまでの間、次のように患者の気道を確保し、人工呼吸を続ける必要があります。落ち着いて対処すれば十分間に合う場合が多いので、日頃から方法やこつを身に着けておいてください。
◆気道の確保
患者の顔を横に向けて、口や喉に溜まった粘液や唾液をすばやく取り除きます。入れ歯も外します。吸引器を使用すると便利です。次に患者を仰向けにし、肩の下に枕を入れて顎を上げ、頭をできるだけ後にそらせて、気道を開いたまま保つようにします。
◆人工呼吸を続ける
さらにもし必要なら、口から口へ、あるいは口から鼻へという方法で、人工呼吸を行い、救急処置のとれる病院へ運ぶまで続けます。
◆病院への搬送後
医師は、気道挿管や気管切開をして気道を確保し、人工呼吸を連続的に行うことにより、クリーゼを切り抜け、その後の対策を行います。

<流延(よだれ)>

 唾液を飲み込みにくくなると、口中にたまってよだれが多くなり、誤飲やむせの原因になります。ティシュペーパー、ガーゼなどを枕元に備えて、溜った唾液を拭きとります。吸引器を使うのも良い方法です。


<痰(たん)>

 咳をする力が弱くなると、たんを出すことが難しくなります。まずタンを切りやすくするために、水分を多くとるようにします。またタンがねばくならないように、お湯を沸かして部屋の湿度を保ったりネブライザーで湿気を吸引したりしてから、吸引器を使用すると便利です。


<風邪と筋無力症>

 風邪は、ストレス、過労などと共に、筋無力症の症状を悪化させる大きな要因の一つです。

  • とくに球麻痺症状のある場合は、クリーゼを誘発する要因となりますから、日頃から風邪を引かないよう十分な対策を立てる必要があります。
  • ステロイド服用中は、多少とも感染しやすくなっていますから注意しましょう。
  • 風邪予防のためには、人込みに出掛けない、外出から帰ったら必ず手洗いとうがいを実行する、厚着をしない、肌を鍛える、日頃からストレスを上手に解消して、規則正しい生活をする、などを心掛けます。
  • いつも体にあった風邪薬を用意しておき、もし風邪にかかったら、薬を飲む、医師に掛かるなど早めの対応を心掛けます。この時医師には、自分が筋無力症患者であることを知らせ、脱力を増すような薬を服用しないようにすることが大切です。