日常生活について
リハビリテーショ
筋無力症の後遺症はきわめて多彩ですから、病態像を正確に把握して、適切な対策を立てることが必要です。筋無力症は、症状に日内変動を持ちながら長期慢性化しているケースが多く、そこでは患者自身が毎日の生活の中で努力して、リハビリテーションを実行していくことがとくに大切です。(以下、宇尾野先生「MGの後遺症と対策」 希望70号参照)
<眼症状>
眼症状、とくに外眼筋の障害による眼症状は治りにくく、さらに筋萎縮が生ずると、一層治りにくくなります。その結果ある人は斜視が生じ、眼科的に矯正手術を受ける必要が出てきます。
- リハビリ
- 薬が良く効いているときに、眼球運動のリハビリテーションをします。頭を固定して、目の前にメトロノームを置き、あるいは振り子をぶら下げて、その動きを眼球だけで追従させる訓練をします。これを怠ると、外眼筋は萎縮脱力が強くなり、薬も効かなくなり、眼球は固定してしまいます。

<言語障害>
言語・発声にかんする筋は、口唇、舌、咽喉頭筋のほかたくさんの筋が関係しています。障害される筋によって、発音に差が出てきます。口輪筋の麻痺が強ければ口唇音(パ音)が、舌の萎縮が強ければ舌音(ラ音)が上手くできません。咽喉筋に萎縮が来れば声は鼻に抜けてしまいます。
- リハビリ
- 深呼吸を繰り返して酸素を充分取り込んでから、徐々に正確に話ができるように発声練習をします。しかし疲れるほどやり過ぎては逆効果です。後述の呼吸障害のリハビリも兼ねて訓練の一つに民謡、詩吟などの息の長い歌謡を取り入れると非常に有効です。
気管切開をすれば言葉は出ませんから、気管カニューレの入り口を指で押さえて発声します。状況が許せば切開口はなるべく早く閉鎖するほうがよく、これは感染防止の原則です。

<呼吸障害>
筋無力症の呼吸障害は主として、肋間筋や横隔膜の脱力症状として現れます。呼吸障害が頻発するとクリーゼを起こしやすいので十分注意しなければなりません。
- リハビリ
- 症状が軽く調子のよいときに行います。目の前にローソクを立て、火を吹き消す訓練をします。(上手になったらローソクの位置を少しづつ遠ざけます)ローソクの代わりに風船など何でも適当なものを選んで工夫しましょう。毎日数回繰り返すことが大切です。

<表情障害>
人間の喜怒哀楽を示す“表情”は、対人関係において非常に重要です。筋無力症では、笑いを構成する顔の筋肉が脱力すると、笑い顔が泣き顔のようになってしまいます。嬉しい気持ちも相手に伝わらず残念です。
- リハビリ
- 例えば、頬を左右に膨らませたり、口を尖らせたり、眼をぎゅっと閉じたり開いたり、口を閉じたり開いたり、額に皺をよせたり伸ばしたり、いろいろな表情筋の訓練をします。日頃から充分な訓練が必要です。

<頸部脱力・四肢脱力>
筋無力症では頸部や頂部の骨格筋が脱力すると、首がだるくなり下がります。全身型の多くは、手足の躯幹に近い部分が障害され易く、上肢挙上困難、階段昇降困難、しかも易疲労性などが主な症状です。後遺症としては、四肢の筋萎縮がとくに上腕部、肩甲部に圧倒的に現れます。そのため伸ばす方の筋肉が弱くなり、ハンドバックを抱えることは出来ても、万歳が出来ません。
- リハビリ
- 薬が効いている間に、筋肉を使うリハビリ訓練を毎日やることが大切です。発症から何年も経過して筋萎縮が強くなったケースでは、回復の見込みは著しく減りますので、リハビリは早い時期から開始することが大切です。リハビリの時期や方法については、主治医や理学療法士と協力して毎日の適切なプログラムを組んでもらうことが必要です。
