重症筋無力症の「症状」について
重症筋無力症とは
重症筋無力症は、Myasthenia Gravis(ミアステニア・グラービス)と言い、二つの頭文字からMGと略称されています。
重症筋無力症は、神経と筋肉の接合部分の異常の為に、筋力が弱まり疲れやすく、ひとつの筋肉を繰り返し使うと急速に力が落ちて、動かなくなり全身的な脱力が起こる病気です。筋力低下の起こる部分は自分の意志で動かすことのできる筋肉(随意筋)のみで、心臓や内蔵などの平滑筋の力が弱くなることはありません。
眼筋型(眼症状)
最初の症状は”眼”に現れることが多く、「瞼が下がって開かない(眼瞼下垂)」「物が二重に見える(複視)」「左右の焦点が合わない(斜視)」などが現れたりします。重症筋無力症には、このような眼の症状のみにとどまるタイプがあり、これを眼筋型と言います。
「目つきが悪い」と言われたり、「疲れかなぁ」とか「気のせい?」と過ごしているうちに症状がはっきり出てきます。
球麻痺型(球症状)
眼の症状が現れたあと「しゃべりにくい・鼻声になる(構音障害)」「かたい食べ物が噛めない。味噌汁が飲みにくい(嚥下障害)」などの球麻痺症状が現れる場合があります。これを球麻痺型(球症状)と言います。
(球は延髄球のことで、脳の最下部にあり、脊髄の上に続く部分。太く膨れているので球ともいう。口や舌などの運動を司る神経が集まっている。)
球麻痺症状のため、せっかくのご馳走が食べられなくて、辛い思いをした人は少なくありません
全身型
眼の症状と球麻痺症状が現れ、さらに症状が全身に広がってくると、手足の筋肉の力が弱くなって「持ったものを落とす」「字が書けなくなる」「洗濯物が干せない」「顔を洗えない」「立てない」「歩けない」など、日常生活が困難になります。これらの症状を全身型と言います。
全身型では、発病初期の頃は急激に症状が悪化し、呼吸筋の麻痺を起こし呼吸困難になることがあります。これをクリーゼ(急性増悪)と呼んでいます。クリーゼが起こる前に、できるだけ早く医師にかかる必要があります。
日内変動があり、日により時間により症状の変動が現れます。そのため、時には「なまけ病」と誤解されることもあります。
症状には個人差がある
重症筋無力症では、弱くなる筋肉の場所は目の回り、口の回り、肩の回り、腕、腰、足など、人によって大きく異なるという特徴があります。
また、症状の程度も人によって違いがあります。「眼球を動かす筋肉の力が弱くて、物が二重に見えている」「斜視が残っている」「瞼が開かなくなっている」「あごの力が弱くて、しゃべりにくい」「舌が動きにくい」「手足の力が弱い」など後遺症として長い間障害が残って、苦労されている方もいます。後遺症も人によって様々です。
わが国の統計
重症筋無力症の有病率は人口10万人に対し、約10人で、男女比は1対2です。発病年齢は一定しませんが、20〜30歳代の女性に発病することが多いです。男性は40〜50歳代を中心にした緩やかな分布で、これは胸腺腫合併症の分布とよく合致しています。さらにわが国の統計では、男女差のない幼児眼筋型の山のあることが明らかになっています。家族性重症筋無力症はまれです。
全国の重症筋無力症の平成14年度特定疾患治療研究受給者証交付件数は13,785人です。申請していない人もかなりあるので、全国の患者数は正確にはわかりません。『現代難病事典』(東山書房)・Dr.戸根医療講演参照
