社会生活について
筋無力症は、目に始まって目に終わると、通常いわれているように、後々まで残りがちな目の症状を始め、手足の筋力低下などいろいろな症状が慢性経過をたどり、しかも、日によっても症状が変化します。従って社会生活の上では、これら症状の変化に一喜一憂したり、苛々したりしないよう、日頃から、いかに心身の自己管理をじょうずにして充実した毎日を過ごすかが、患者にとっての課題になります。
- もし感情のトラブルなどに出会うと、眼瞼下垂や構音障害など思いがけない症状の増悪を来すことがありますので、心理的ストレスが症状に与える影響などをよく知って、常に落ち着いた豊かな精神状態が保てるように努めることが必要です。
- 筋無力症は、難病とはいえ治る病気であり、寛解期に入れば、ごく普通に社会生活に適応して行くことが十分できますから、過度な心配や周りからの過保護も病人扱いも必要ありません。マイペースを守って、決して無理をしないで、生き甲斐ある社会生活を送るように心掛けましょう。
学校生活について
小児の筋無力症の症状は“眼症状”が主で、成人になればほとんどの場合症状が軽減しています。従って薬でうまくコントロールしながら、無理な目の使い方をしないよう注意して学校生活や集団生活を送ってください。
- 学校生活において、学習面、知能面では何の問題もありません。ただし、スポーツなどの技術面では、複視や目の遠近感に異常がある場合、球技は苦手となります。中には野球など捕球ミスをすると危険なものもありますので、それぞれの症状の程度に応じたスポーツを選ぶことが必要です。
- 学校の担任教師や養護教員には、病気について十分説明し、子どもの状態(眼瞼下垂、疲れやすさ、服薬の必要など)およびそれに必要な援助についても良く話し合って、理解を得ることが大切です。
- 体育祭、マラソン大会、修学旅行などは、筋力の弱い子どもにとって、大きな負担であり、精神的苦痛である場合もあります。学校行事の中では、その子にふさわしい配慮とその子なりの役割が与えられる必要があります。
- 子どもが積極的に自己を表現し、何でも話し合える友達を作ることも大切です。
- 親は、子どもの一番の特性や長所を進んで認め、伸ばし、何か一つでも自信をもって学校生活を送れるように援助してあげてください。(マンガや作文が得意、昆虫が大好きなど)
- 親が焦ったり、くよくよしたりすることで、子どもに不要な心配を植え付けることがあります。まず親が病気のことを正しく知って、子どもに、きちんとした闘病態度を持つこと、明るく生きることを身をもって教えて上げてください。

結婚、出産について
筋無力症の患者が結婚することに対して、病気はなんの支障にもなりません。遺伝についても、筋無力症だからといってとくに心配する必要はありません。
多くの患者さんが、それぞれ素晴らしい伴侶を見つけて結婚されています。また二世も誕生しています。結婚は、あくまでも本人同士の愛情と思いやりが大切です。そして周りの暖かい目も大事なことです。
- 妊娠期間中は、筋無力症の症状が悪化する場合、逆に好転する場合、あるいは全然影響の無い場合と、個人によって様々です。悪化した場合は、神経内科、産婦人科専門医の連携の下で適切な指導を受けてください。
- 出産は、やはり専門医のいる病院を選んで頂くことが望ましいでしょう。出産直後に症状が悪くなることもあり、また新生児に一過性の筋無力症が出ることがありますので、産科、小児科、神経内科の整った総合病院を選んで、よく医師と相談するようにしてください。

就労、就職について
軽度の症状を抱えながらも、社会の各方面で立派に仕事をしておられる方々が多くなってきています。
今はとても無理だという方も、将来きっと「社会復帰するのだ」という気持ちがとても大切です。内にこもらないで、外に向って気持ちを明るくもってください。
- さて、病気を抱えながらの就職は、現実にはとても大変なことです。その対策として、自分の個性・特性を生かした資格や、その道のスペシャリストを目指しましょう。(看護婦、医師、福祉ケースワーカー、教師、プログラマー、司書、デザイナー、作家、芸術家など……)ハンディがあるのなら、そのハンディを生かした仕事もあるはずです。家に居ながらでもできる仕事を探してみましょう。周りに良き理解者を見つけて、協力してもらうことも大切です。
- 就職したら、やはり健常者と同じ条件で同じ働きを要求されることになります。もちろん自己の体力や能力を精一杯発揮して働くことは、大きな生きがいとなります。しかし、過労や無理があれば症状の再発につながりますから、充分注意しなければなりません。そのためにも職場の人々の理解と協力を得られるよう、努めることが大切です。
- あなたの前向きな明るい態度、真摯な努力、熱意、強調と思いやり、ユーモアの精神があれば、きっと周りも暖かい目であなたを見てくれるでしょう。
- なお障害者手帳を受けている人は、障害者雇用促進法による雇用の促進・優先の制度を活用して、積極的に社会に出ていきましょう。
